LEICA T (Typ701) | SHOOTING REPORT

ライカにはAPS-Cサイズのセンサーを搭載した 「LEICA X2」「LEICA X Vario」などがラインアップされていますが、この度全く新規のマウントを搭載したミラーレス機が登場。数年前までは「LEICA M8」のみで、ライカといえば"フイルムのM型"といった印象が強かったメーカーですが、気がついてみれば中判デジタルからコンパクトデジタルまで随分充実したものですね。日本のカメラメーカーに比べれば、そう大きな規模ではないメーカーですが、全く新規にマウントを興して激戦区であるミラーレス機を投入してくるには、ライカらしくアイコニックでコンセプチュアルなモデルなのでしょう。まずは画のほうからじっくり観察してみましょう。

( 写真 / 文:K )

ほぼテレ端で、開放で撮影。JPGの画はライカらしく渋めな印象。「LEICA X2」の渋さに少しだけ彩度が加わる印象です。このレポートはすべてDNG(RAW画像)からAdobe Lightroomで現像処理を行っています。現像処理は見た光景にできる限り忠実に合わせこんでいます。シリーズではまず標準ズームと35mm相当の単焦点がラインナップされるようですが、今回全て標準ズームにて撮影しました。開放から十分なシャープさを持っていますが、目が痛くなるようなものではありません。ライカらしく適度に丸みのある描写です。画面の隅々まで平坦性が高く、ボディともよく合わせ込まれた丁寧な画に感じます。JPG/DNG共に、かなりあっさりとした色乗りだと感じますが、ガンマを当てたり、コントラストを切り詰めたり、現像処理の過程で感じるのは画の懐の深さです。大変素材性が高く、一般的なミラーレスに比べれば少し詳しい方向けかもしれませんね。もちろん、JPG撮りっぱなしであっても、ライカ独特の渋い色合いが好みの方であれば、これをそのまま使い、浸るのも楽しいと思います。

現場はかなり暗くISO800までゲインアップ。露出もかなり切り詰め気味で、高感度でこのようなアプローチで撮ると、画がわりと乾いて平面的になりそうなシチュエーションです。しかし見た目に忠実に、石像の頬のあたりに艶を感じます。S/N(シグナル/ノイズ)比が極端によいというわけではないのですが、よく作り込まれた画だと感じます。

F8まで絞り込んでの撮影。ピント位置は画面下1/3あたりの菜の花に置いています。焦点距離はズームの中程より少し手前あたり。ほぼパンフォーカスに近くなります。菜の花の花びら一つ一つを色飽和もなく緻密に解像し、奥の高周波な木の枝も無理なく解像できています。画面の隅々まで気持ちよい描写ですね。

阿蘇山の火口ですが、噴煙の立体感が素晴らしいの一言です。ここには恐らく20年ぶりぐらいに訪れました。さほど大きな音ではないのですが「ゴー」と静かに迫り来る音には恐怖を感じます。

 

カメラが指し示す露出はもっと明るめなのですが、マニュアル露出に切り替えて見た目に忠実な露出に。さすがに感度もISO800までアップしての撮影です。ISO800でこれだけ艶っぽく写ってくれれば嬉しい限り。開放での撮影ですが、右上のピントを置いた部分のキレはもとより、立体感が素晴らしいですね。後ボケも量感を伴ったボケ味で丸さも感じます。しかしシャドーの情報量も見事なものです。

ほぼテレ端、開放での撮影です。一般的なレンズであればどうしても周辺が甘くなったりするものですが、平坦性も良好。バキバキにシャープというわけではありませんが、必要十分なシャープさです。どんなシーンでも扱いやすいレンズでしょう。

切り詰め気味の露出ですが、椅子の木枠部分の描写がよいですね。手触りまで感じられそうです。

歩き疲れて、門司港駅近くのカフェに。少し曇り空、よい感じにディフューズされた光が差し込み、グラスがとても美しかったのでパチリ。開放F値が特別明るいわけではありませんが、大口径だったとしても実際には多少絞り込まないと、この距離ではあまりに画が溶けてしまいます。開放でちょうどよいボケ量です。ピント部分のシャープさ、グラスの質感、結露の雰囲気、実に佳いですね。

ISO1600で撮影。このあたりから若干ノイズは感じられます。しかし上手くまとまった潰し方だと感じます。ちなみにISO3200で撮影したカットはこちら。なお、β機での撮影ですから、製品版の段階では画が変わる可能性があります。

 

スモッグと湿気の影響でしょうか。実際の光景はこのカットの通り大変ミスティでした。そのわりには光が燦々と差し込んでいるので、再現が難しいシチュエーションではあります。中間付近のトーンの連なりが抜群で、静かな水辺の撮影などにはうってつけ。どちらかといえば、露出は多めで、カラーネガの撮影のようなアプローチに向くカメラだと感じます。※DNGで撮影し、ポジ的な印象にまとめられる懐の深さもあります。

大分県臼杵市にて。国内外を問わず様々な場所へ撮影に出向きますが、日本という国は本当に美しい国だと感じます。歩く人にピンを置きましたが、この立体感!

気持ちよい季節です。こんなカメラを持って、ぜひ旅に出てください。

 

確かな実力と革新のボディ。持つ喜びを感じさせてくれるライカのミラーレス。

まず、かなりの「よいモノ感」です。無垢のアルミブロックから削り出されたボディは、マテリアルそのものが持つ質感を饒舌に伝えてきます。ライカの伝統を感じさせるラウンドシェイプに柔らかさを感じながらも、グリップ端は少しだけ面取されてエッジー。大変ホールドしやすく、ボディ形状をよく練り込んであると感心しました。ライカ社からのアナウンス通り、必要最低限の物のみ配されたボディは実に機能的であり、かつ美しいのです。ポップアップ式のストロボを備えるのですが、電源スイッチをON位置を通り越して回すとストロボがシュッと姿を表します。ポップアップのボタンを配置したくなかったのでしょう。これには驚きました。背面には一切ボタンが無く、すべて液晶画面に表示されるメニューからの操作となります。メニューのUI構造は、スマートフォンなどでよく見かける、平面的なタイル状で、できる限り浅い階層までで解決できるメニュー構成。こちらをタッチすることで直感的に操作することができます。再生ボタンすら無いので、どうするのかと思いきや、ライブビュー中の画面上部から下方向にフリックすると再生モードに。あとはフリック、ピンチイン・ピンチアウト、つまりスマートフォンを使ったことがある方なら誰でも抵抗なく操作できると思います。おそらくミラーレスでライカ社がやりたかったことを全て詰め込んできたのが、この「LEICA T」という新しいシステムでありカメラでしょう。ミラーレス機は多々あります。しかし「LEICA T」ほど、開発陣の方々の"にやけ顔"が浮かびそうなカメラもありません。少し値は張りますが、手に入れれば本当に嬉しいカメラだと思います。なにせ、恰好よいですね。


( 2014.05.01 )

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ウル・ライカ誕生から100年。ライカから革新的なアルミ・ユニボディのミラーレスカメラが登場しました。画質とハンドリングのよさをバランスさせたセンサーはAPS-C・1630万画素。Wi-Fiも内蔵しています。

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専用のバッテリーはボディ底の外装を兼ねています。ロックを外してワン・プッシュで着脱できます。

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最初の1本として相応しい、コンパクトにまとめられた3倍ズームレンズ。フルサイズ換算27〜84mm相当となる標準域をカバーしています。

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フルサイズ換算35mm相当となる単焦点レンズはズミクロン(開放F2.0)での登場。

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専用のEVFはGPSセンサーも内蔵。撮影に没入したい方には必須のアイテムです。

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M型ライカユーザーの方はこちらもお忘れなく。LEICA Tはサブカメラとしても最高のボディとなってくれるでしょう。

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M9 Titanで登場したワンショルダースタイルのホルスターがT用にも登場。別にアルミ製のものもございます。

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ユニボディにフィットするレザータイプのプロテクター。赤いステッチはライカロゴと合わせてあります。

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ビビットなイエローが印象的なシリコン製のボディケース。他に、ブラック・ホワイト・オレンジをご用意。

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シリコン製のボディーケースをお求めの方は、同色のストラップもお忘れなく。新機構の「Easy-Click」式により、ボディとの着脱はとても簡単です。

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