LEICA M モノクローム 実写レビュー

1画素1画素がストレートに出力画像の1ピクセルとして結実する。階調も豊かになるでしょうし、繊細で素直な線が描かれるだろうと想像していました。プロトタイプのライカ M モノクロームでテスト撮影を行ってみて、結果は事前の予想通りだったのですが、特に階調の豊富さ、そして美しさに感じ入った次第です。ハイエストライトからディープシャドーまで濃密でモノクロームなのに自分の目で見ているような錯覚を感じます。ファーストカットを液晶画面で再生し、その階調のあまりの美しさに「柔らかいレンズが使ってみたい」と感じました。セットでお借りしたAPO-SUMMICRON-M 2/50 ASPH.を一旦バッグに仕舞い込み、往年のレンズをマウント。フイルム撮影で徹底的に使い込んできたレンズが、どんな描写を見せてくれるのか。まずは作例をごゆっくり。

( 写真/ 文:K )

f1.0最初期のノクティルックス。フイルムでもデジタルでも、周辺がズドンと落ちるレンズです。M9-Pでもローパスレスであり、極めてシャープでボケ味もフイルムとかなり似た印象ですが、Mモノクロームはさらにフイルムの描写に近い印象です。ノクティルクスは開放で撮影すれば、被写界深度は当然極薄です。しかし厚みのあるボケ味が特長であり、デフォーカスであっても輪郭が感じられるのです。M9-Pで撮影すると表現が難しいのですが、若干ボケが丸まってしまうのです(大きくなるというか・・・)。Mモノクロームで撮影したカットをフイルムで撮影したと言われて見せられたら、正直なところ頷いてしまいそうです。誤解無きよう記すのですが、なにも殊更にフイルム描写を礼賛しているわけではないのです。前述のとおり、散々使ってきたわけですから「うんうん」と頷いてしまう、ということなのですね。

どれほどシャドーが粘るのだろうと、これでもかとアンダーに撮影。プロトタイプのため、全てのカットをJPGで撮影しているのですが、撮影データを持ち帰り、デスクでトーンカーブをドンと持ち上げてみました。殆ど黒にしか見えなかった領域も階調が浮かび上がってくるのです。JPGでこれですから、DNGのデータを早く見てみたいところです。しかしライカM8の頃を思えば、ライカの作るJPGデータが明らかにこなれてきています。M8の頃はDNGで撮影するカメラ・・・といったノリで、牧歌的なカメラでした。

これだけリッチな階調ならば、シルバーの車でもかなりハイキーにも振れますし、もちろん思い切ったローキーでもOK。デジタルカメラは、わりとどちらかに振ってしまうほうが佳い画になりやすいのですが、厚い雲に覆われたフラットな光に中庸な露出。それでもこの描写です。

実はAPO-SUMMICRON-M 2/50 ASPH.でも同様のカットを撮影しました。カメラ側がとにかくキレる画を叩き出すために、やはりポートレートはこれぐらい柔らかいレンズの方がよいのではないでしょうか。逆に男性なんかは、サイドから1発炊くだけの強烈な光で、カメラのシャープさに、さらにカミソリのような描写のレンズで絞り込んで撮る。豊富な階調特性ともマッチして、かなり痺れる画が撮れるような気がします。今後のレビューでぜひトライしてみたいところ。

フォクトレンダーシリーズで最も切れるのではないかという、SUPER WIDE HELIAR 15mmをマウント。形容しがたい描写で、35mmフイルムではここまで写らないでしょう。わりと硬いレンズですが、それでも階調はハイライトからシャドーまで綺麗に連なります。マッチングは大変よい印象です。しかし目が痛い。。。

センサーそのものが言ってみれば理想の形であるわけです。その代わりモノクロームなのですが。それでも欲しい、なんて人には何も並べる必要がないのかもしれませんね。余談ですがMモノクロームの画を見て、センサーというものをまた考えさせられました。

灯りがともる前の銀座は撮影していてなかなか楽しい場所です。レンジファインダーカメラの宿命ですが、このカメラの距離計とレンズのマッチングがもう一つ。意図したポイントとは違うところにピントが来ています。しかし、どうでしょう、このグラスの描写。う〜ん・・・。

ステンレスの質感、タイルと呼ぶには少し大きいのですが、石材の質感。どうってことのない1カットですが、液晶画面見ながらニタニタしてしまいました。

階調の豊富さから、かなり極端に露出を振ってもまとまるのです。たとえば2段ほどオーバーに振るとします。どうしてもコントラストが犠牲になってすっぽ抜けたような画になってしまう。そんな悩みと無縁のような印象です。たとえば白ホリにストロボをドーン!と炊いて背景をまさに飛ばしてしまう。そんなフイルム時代に慣れ親しんだ使い方もOKな気が。こちらも次回のレビューで試してみたいところ。

誰がなんと言おうと、欲しい人は欲しいのだと思います。カラーセンサーが叩き出す画を白黒化したって白黒の写真表現はできます。それもかなりのレベルに追い込めるほど、今のデジタルカメラは後処理の環境まで含めてよくできていると感じます。それ以上のものを望むか否か。つまりそういうことなんだと思います。しかし選択肢があるということは望ましいことで、対価さえ支払えば当たり前ですが手にすることができるのです。わずか2時間程度のテスト撮影でしたが、いまこうしてPCのスクリーンで見るMモノクロームのカットは、どっしり構えて撮りたくなる衝動に駆られます。ライカMマウントの数え切れないほどのレンズで楽しむのもよいですが、願わくは一眼レフのシステムにこれを組み込んでくれないだろうか、そんな風にさえ思ってしまいます。とことん撮ってみたいと感じさせられる試写でした。フォトヨドバシでは、ひきつづきこのカメラのレポートをできる限りお届けしたいと思っています。

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デジタルでモノクローム。白黒写真を楽しまれてきた方には、この上ない選択肢になるでしょう。カラーフィルターのないセンサーの驚くべき描写、ご堪能ください。

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これまで球面で通してきたズミクロンが遂に非球面化。ついでにAPOまで。究極を知りたい方へおすすめしたい1本です。

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