LEICA M-P SHOOTING REPORT

「(前面の)赤バッジが無くなって、彫り込みロゴが入ったら買おう」そんなセリフが方々から聞こえてきていました。ライカというのは面白いカメラで、レジェンダリーなルックスが好き、いや自分は今時のライカのルックスが好き・・・とまあ、ルックス一つも多分に購買意欲に影響するカメラだったりします。ともかく数限りないレンズ群、写真界のレジェンドと呼ばれる人達がこぞって愛用してきたその歴史など、グラス片手に語り込むようなエピソードは枚挙に暇がなく、一度その世界に触れると熱病的に傾倒してしまうような危うさがあります。だからこそ、ルックス一つで一悶着起きてしまうのですね。こんな世界を否定してしまうのは簡単ですが、仕事柄様々な機材に触れることもあり、客観的な目でこのシステムを見つめると、やはり一家言ある画を叩き出すボディはもとより、現行レンズの半ば変態じみた写りにはやはり唸るものがあります。"変態じみた"というのは、もちろんリスペクト。とにもかくにも、最新のライカボディ+最新レンズの世界をご覧ください。

( 写真 / 文:K )

まずSUMMILUX-M 1:1.4/35 ASPH.IIです。ピントを置いた部分のキレは凄まじく、35mmのように短い玉でここまで被写体が浮き上がるレンズは、なかなかありません。焦点距離を問わずあまり無いかもしれませんね。35mmの画角は面白いもので、寄れば画は客観的になりやすく、離れれば主観的になりやすいと思います(*1)。 もちろん、筆者の個人的な印象ですが。これぐらいの距離だと主観的に写りやすいと思いますが、レンズの力がよりそれに寄せていくという。面白い玉です。その場の空気を立方体で切り取って持って帰ることができるレンズのような印象です。客観、主観というのはよければいろいろ試してみてください。35mmというレンズは奥が深いですよね。*1 ライカ・レンジファインダーカメラの最短撮影距離、70cmを前提とした話です。

こちらは NOCTILUX-M 1:0.95/50 ASPH.。人間の瞳より明るいというF0.95です。過去にもこの明るさを実現したレンズはありましたが、ローパスレス2000万画素オーバーのボディでピントピークがシャープに写ること自体が驚愕です。できれば最短付近で使うことよりも、10m程度のあたりにピンを置きたいですね。大変面白い画が撮れると思います。このレンズを使いこなすコツは、ライカMもしくはライカM-Pを購入することだと思います。開放のピントは紙一枚。ライブビューまたはEVFが無いとまともにピントを置くことすら難しいと思います。あとはピントを「面」で考える事かもしれませんね。

ライカで接写を行うには、このMACRO-ELMARがスタンダードでした。MACRO-ELMARをいわゆるエクステンションチューブにマウントして、接写を可能にする訳です。しかし、レンジファインダーカメラはレンズを通した像をファインダーで見てフレームするのではないため、チューブをつけたらファインダー像も何らかの補正を行わない限り、ピント合わせもフレーミングもできません。そこでファインダー像を補正するためにチューブに接眼窓用と距離計用のレンズを取り付け、ファインダー像を近接撮影時にも使えるよう補正します。これを通称"眼鏡"と呼んでいるのですが、ライカMおよびM-Pではライブビュー&EVFのおかげで眼鏡も不要となりました。このレンズは開放こそF4と少々暗めですが、無理の無い設計なのでしょうか。ピントのキレは素晴らしく、ボケ味も柔らかいのです。また近接のみならず、無限側の描写もすこぶる良好。コンパクトに沈胴するため、旅先で大変重宝するレンズです。さらにライカMやM-Pならば、"眼鏡"にほかのレンズをマウントするという裏技も(もちろん眼鏡を覗いてフレームは不可能です)。

再度SUMMILUX 35mmにて。なんという立体感。後ろボケは少しクセがあるのですが、モニターを見るたびに本当にわくわくするレンズです。

 

レンジファインダーのユーザは、あまり望遠レンズを使わない傾向にあります。ファインダーのブライトフレームが小さくなり、撮影しがたいからですね。しかし、ライブビュー&EVFさえあれば望遠のフレーミングもピント精度も不安が一掃されます。90mmの作る画は程よい圧縮効果と自然なパースペクティブが特長。重ねて個人的な主観ですが、フレームに時を漂わせることができると思います。もしM-PやMを手に入れたら、ぜひトライしてみてください。結構面白いです、90mm。マクロと冠されたレンズですが、無限側の画もすこぶる良好。ピントを置いた被写体と背景は明瞭に分離し、浮き上がって見えます。

こちらはSUMMILUX50mm。リリース間もない頃に試すことができましたが、その切れ味に腰を抜かしそうになりました。いまなお、開放からここまでシャープな50mmは同じくライカのAPO-SUMMICRON 50mmぐらいだろうと思います。M-PやMを使っていて感心するのがハイライトのトーンの連なりの良さ。安心してハイキーな露出が選択できます。

マクロと冠されるだけあって、歪曲等はよく抑えられています。なかなか注目を浴びるレンズではありませんが、1本持っておくと重宝するレンズです。

再びNOCTILUXです。周辺は少し像が緩くなり、かなり光量も落ち込みます。むしろそれは画作りに活かして、開放から使うべきレンズだろうと思います。距離にして10mぐらいだと思いますが、開放でよくこれだけシャープに捉えられるものですよね。感心します。望遠レンズで開放では出せない雰囲気が50mm F0.95、F1.0というレンズにはあり、ハマると面白い画が撮れます。

NOCTILUXです。非球面レンズの影響でしょうか、真ん中はかなり大きくボケます。くわえてピント部分は大変シャープなため、被写体を真ん中に置くと本当に浮き上がるかのように写ります。飛行機を狙ってずっと空を見つめていました。その昔、筆者もよく撮りました。夕日に染まる時間帯に飛行機を狙うのは格別の楽しさがあります。晩夏といった雰囲気で、半袖では少し肌寒い空気がよく写っています。

 

最後のカットもNOCTILUX。いかがでしたでしょうか。写真にとってカメラボディも大事なのですが、ライカの魅力はともかくその豊富なレンズ群の存在です。現行レンズもデジタル時代に入ってからほとんどがリプレースされるという精力的なラインアップ。加えてオールドの世界まで足を踏み入れれば、もうキリがないほどに選択肢はふくれあがります。レンズを絵筆と例えれば、やはり魅力あるシステムですよね。

 

 

確かな実力と革新のボディ。持つ喜びを感じさせてくれるライカのミラーレス。

この度ライカ社はゾルムスからヴェッツラーへ本社を移転しました。M-Pで彫り込まれる軍艦部のロゴは当然ヴェッツラーに。考えてみれば、ヴェッツラーの名が入るのはM6最初期型あたりまで遡ることになるのでしょうか。M-PはMと比較して、バッファの積み増しや、サファイアガラスの採用、軍艦部の彫り込み、前面のライカロゴを廃しています。なおブラックペイントボディでは、ホットシューや背面のサムダイヤルや十字キーも黒に統一されています。この意匠をお待ちだった皆様、レンジファインダーのデメリットをリカバーし、より踏み込んで撮影可能な本機を手にしてより一層写真生活を楽しんでください。


( 2014.09.06 )

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よりクラシカルなスタイリングに加え、サファイアガラスを纏った液晶モニターやバッファメモリー倍増など、ハードウェアも進化したプロフェッショナル・バージョンです。

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シルバーボディもラインナップ。オールドレンズとの相性がいいボディカラーです。

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EVFによる精密なフォーカシングとフレーミングは、レンジファインダーカメラの世界を広げてくれます。つけてみると手放せなくなるんです。

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大容量化されたバッテリーですが、スペアが不要になったわけではありません。備えあれば憂いなし。カメラバッグに忍ばせておきましょう。

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