LEICA D-LUX (Typ109)|SHOOTING REPORT

いつでも持ち歩けるコンパクトなボディに、大型センサーと明るいズームレンズ。欲しかったものをそのまま詰め込んでしまったようなプレミアムコンパクトカメラ、D-LUXの登場です。センサーは4/3型という大きさですから、従来のシリーズからひとつ次元の上がったリッチな画が得られることは想像に難くありません。搭載されるレンズは標準域(35mm判相当24-57mm)をしっかりカバーする"DC VARIO-SUMMILUX F1.7-2.8/10.9-34mm ASPH."。ライカらしいエレガントなフォルムにこれだけの高画質を詰め込んだということで、上質なコンパクトカメラを求める方には見逃せない選択肢となりそうです。JPEG撮って出しの画で、その作例をご覧いただきたいと思います。

( 写真:Z II / 文:48 )

外装にしっかり手を入れてくるのがライカというメーカー。余計な装飾のないスマートなフォルムに、ライカの赤バッジがよく映えます。手にすると、やはり文句なしに格好いいのですよね。仕立てのよいスーツでピシっと決めたなら、手にするのはこんなカメラでありたいものです。

色づきはじめた葉を透かす太陽の光。コンパクトカメラとはいえ大型のセンサーを搭載する余裕というべきか、リッチなトーンを感じることができます。ヌケの良さ・コントラストの良さもあって、清々しい雰囲気を写真に収めることができました。

寄れること、そして75mm相当までズームできることが、様々なシーン・被写体の撮影を可能にしてくれます。意外と撮るのが難しいテーブルフォトも、席に座ったままでこんな具合に。シェフの作品をスマートに写真に残したら、美味しいうちにいただくとしましょう。

ロープ1本1本がしっかり伝わる解像力。コンパクトカメラというカテゴリも、ここまで写る世界になりました。広角端が24mm相当というのが絶妙に使いやすいですね。望遠側が多少足りなくても後でトリミングすればいいのですが、広角側で写せる範囲が狭い場合はどうしようもありません。目の前の景色や感動を、もれなく写せるのは24mmです。

ライカXシリーズなどにも言えることですが、独特の画作りは昨今ニュートラルな印象になってきました。とはいえ日本のメーカーに比べると、少し渋めの色合いに仕上げてくる印象があります。ドイツに取材に行ったPY編集部のスタッフも「光が日本と違う」という感想を持っていましたから、画作りの方向性が違うというのは当然のことかもしれません。曇り空や雨天の薄暗い雰囲気がよく似合うと思うのは、私だけでしょうか。

被写体をぐっとクローズアップする撮影では望遠側が活躍します。遠近感を抑えて、被写体の形が素直に伝えられますね。金箔の質感など、見事な写りです。

 

楽に携帯でき、風景を撮るにも人を撮るにも適している。旅カメラとしては最高のパッケージと言えますよね。もう少し薄くなるとポケットにも入るのですが、男性の手ではこのぐらいの大きさがあったほうが扱いやすくて良いと思います。大口径ズームレンズを搭載しているわけですし、無茶な要求は野暮というもの。ライカを手にするからにはジェントルでありたいものです。

何気ないワンカットなのですが、場の雰囲気をよく切りとってくれました。奥に写る山並みと湖畔に停まった自動車に、きちんと距離を感じることができます。こういった立体感を表現できるのも、大きなセンサーを搭載しているからこそ。

今年の紅葉はうまく撮影できましたか? 遠くの紅葉スポットに足を運ばなくとも、季節を感じられるものは身近にたくさんあるはずです。たまには空を見上げたり、足元に目を向けてみましょう。ワイド端・近距離での撮影ですが、一枚一枚の葉をきちんと分離できる描写力です。

描写も目つきも大変シャープ。ワイド端の開放はF1.7と明るく、低照度の撮影でも無理なくこなし、ある程度のボケも楽しめます。
朝から晩まで、この1台が活躍してくれるでしょう。

 

とびきりの道具を鞄の中に

写真やカメラを本気で楽しんできた方ほど中途半端な写りでは物足りなくなり、休日以外にはシャッターを切らない、なんていうことがあると思います。必要なのは大抵のシーンに対応でき、よい画を生み出してくれるコンパクトカメラ。できれば身の回りのものと同じように、愛着が持てて長く使えるもの。D-LUXはまさにそんな要望に応えられる、大人に相応しい1台です。

ライカのカメラは決してファッションではありません。あくまで写真を撮るための道具であり、むしろ流行に流されることのない"時間が経過しても古びない"スタイルを、頑なに追い求めているように思います。1年や2年の間にテクノロジーが進化し新製品が最良の選択肢となってしまうデジタルの世界において、このような価値を生み出せるのは特別なことでしょう。ライカの世界に足を踏み入れると、きっと少々の新製品には動揺しなくなり、心の平穏が得られるようになります。機能やスペックだけで単純に比較するのではなく、好きだから使い続けるという選択ができるようになります。合理性やコストパフォーマンスではなく、心が踊るかどうかという価値を見いだせるようになります。少し背伸びしなければいけないプライスかもしれませんが、じっくり長い期間使い込むとしたら、そしてこれからカメラを使うあらゆる瞬間での満足感が違うとしたら、どうでしょうか。

きっと、手にした人に長く愛されるカメラになると思います。M型ライカでも、D-LUXの代わりにはならないのですから。

( 2014.11.21 )




Loading..

Loading..

銘機の予感漂う新しいD-LUX。大切にしまっておくことなく、いつでも連れだしてください。持ち歩いていたからこそ撮れる1枚に、このカメラの価値があります。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

4K動画も撮影できますので、高速大容量のSDカードをぜひ。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..