PHOTO YODOBASHI

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Canon EOS 7D Mark II, EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM, 1/125, F8, ISO 100, Photo by A.Inden

Canon EOS 7D Mark II / SHOOTING REPORT

APS-Cサイズセンサー搭載機のフラッグシップモデルとなる「EOS 7D Mark II」。名前からもわかるようにEOS 7Dの後継モデルで、CMOSセンサーは有効画素数約1800万画素から2020万画素へとアップし、画像処理エンジンは「デュアル DIGIC 4」から「デュアル DIGIC 6」へと進化しました。実になんと約5年ぶりとなる今回のモデルチェンジ。"4" から一足飛びに "6" になるのも頷けます(笑)。拡張感度はISO51200まで対応。俊敏なAFによる高速連写性能、65点からなる測距ポイント、ガラス製ペンタプリズムを採用した視野率100%の光学ファインダー、より強化された防塵防滴性能など、基本機能はまさしく“ハイエンド仕様”そのものと言ってもいいでしょう。いきなりスペックのオンパレードのようになってしまい恐縮ですが、久々のモデルチェンジとあって多岐にわたって手を入れてきた意欲作。よくぞこのボディサイズに、これだけの性能をギュッと凝縮してくれたものだと感心してしまったものですから、ついつい。もちろん肝心なアウトプットも、さらに次元が上がったという印象です。EFマウントの本機に用意されているキットレンズは、「EF24-70mm F4L IS USM」と「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」。今回のほとんどの作例にカバー域の広い18-135mmを使い、ボディの使用感などを確かめつつ作例を撮りためてきましたのでご覧ください。

( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )

Canon EOS 7D Mark II, EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM, 1/180, F5.6, ISO 100, Photo by A.Inden

ハイライトからシャドーまで、しっかりと粘りながら丁寧に描き込んでいるのがわかりますね。ダイナミックレンジが豊かだという証でしょう。画素数の積み増しは解像力のアップをもたらしますが、その一方で階調が損なわれたり、ノイズが出やすくなるという側面もあります。試しに左上のシャドーエリアを拡大して確認してみたところ、確かにノイズがのってきているなという印象。限られたセンサーサイズの中で1画素のピッチは狭くなっているのですから、なにかしらかの影響が出ても不思議ではありません。しかし、よくよく見れば確認できるというレベル。それでいて階調は損なわれておらず、ガラスの艶感もしっかりと表現されており、なんら問題はないでしょう。ガラスに入っている格子状の鉄線1本1本までを、曖昧にならずに描ききる解像力はさすがです。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM, 1/720, F6.7, ISO 3200, Photo by A.Inden

高画素化の影響が出やすいのは、高感度撮影時におけるノイズというわけで早速試してみました。こちらのカットはISO3200にて撮影。ノイズは出てきていますが、いかがでしょうか? 気になるようなレベルではないと思うのです。撮影シーンにもよるのですが、個人的な感覚ではISO6400あたりから気になり出しましたが、それでもなお目立ちすぎるということもなさそうでした。本機には、人工光源による露出のばらつきを抑制する「フリッカーレス撮影」に対応しています。これは測光センサーで光源の点滅周期を検知し、照明が暗くなっているタイミングではシャッターが切れないという仕組み。ちらつきが顕著なインバーターの付いていない蛍光灯の元では、特にその効果が得られやすいでしょう。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/180, F5.6, ISO 3200, Photo by A.Inden

続いてこちらも同じくISO3200の画ですが、ディテールの再現性も決して悪くはありません。拡大して見れば、もちろん常用感度にはかなわないものの、通常の鑑賞サイズであれば十分な画質ではないでしょうか。色乗りもちゃんとキープされ、諧調の連なりもよいですしね。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/250, F10, ISO 100, Photo by A.Inden

秒間10コマの連写機能、65点のクロスセンサーによるスピーディなAFといった各性能の向上が図られているのですが、それらを巧く連携させているなと感じるわけです。じっとはしていてくれない被写体の決定的瞬間を、ご覧のようにズバッと射抜くことができるのですから痛快そのもの。振り回し甲斐のある!? 7D Mark IIなのであります。


Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/1000, F6.7, ISO 100, Photo by A.Inden

写し込んだ人工的な細やかなラインを見れば、解像力は一目瞭然。ビシッとキレのある描写で、細部まできちんと描ききっています。太陽を反射しているのはベランダの柵に使われているポリカーボネートでしょうか。独特の艶感、そして歪みのある面への映り込みを緻密に再現しています。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/350, F8, ISO 100, Photo by A.Inden

階調がリッチなだけあって、スパっとハイキーにも振れますし、ぐっとローキーで抑えることもできます。ガラス面やボディの塗装面の質感表現も申し分なしですね。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/90, F5.6, ISO 400, Photo by A.Inden

思い切った露出選択をしましたが、スコンと抜けてしまうようなことはなく、それなりに諧調が残っているのはさすがです。この光景を目の前にした時の、心地よいまばゆさを巧く表現してくれました。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/720, F5.6, ISO 100, Photo by A.Inden

色乗りしっかり、クリアな描写です。派手な映り込みは無いものの、鳩が水面に足を浸けていることがわかります。ボケ量はさほど多くはないのですが、ここまで被写体をみずみずしく浮かび上がらせる緻密な解像力。やってくれます。

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/125, F5.6, ISO 100, Photo by A.Inden

Canon EOS 7D Mark II, EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM, 1/2000, F8, ISO 400, Photo by A.Inden

フルサイズのセンサーを搭載したカメラのような、ボリューム感のある画にはもちろんかないませんが、見たままの景色を実に素直に写し込んでくれるという印象です。素早く思い通りに被写体を追いかけるもよし、じっくりと時間をかけながらフレームするもよし。いずれの撮影においても、とことん楽しめる1台であることは確かだと思います。これは使い倒すしかないでしょう。


速さだけではない、5年ぶりの熟成モデルチェンジ。

動きのある被写体を撮りたいという場面が増えてくると、より高性能なAF機能のあるカメラの存在がどうしても気になり出してしまうものです。ことさらAPS-Cサイズセンサーを積むハイアマチュアモデルを使ってきた人にとっては、フルサイズ機が視野に入ってくることでしょう。ところが機動性や価格面など諸々を勘案すると、やはり二の足を踏んでしまうというのも事実。そこにきて「EOS 7D Mark II」の登場は、救世主といったら大袈裟でしょうか?ボディのみならずシステム全体でみても費用的にグッと抑えられる(お手持ちのレンズ資産も活用できる)わけです。本機の目玉はAF性能。AFセンサーの測距点は65点になりました。同社のプロユースモデル「EOS-1D X」の61点よりも多くなっているのですから、さらなるAF性能を待ち望んでいた人にはかなりインパクトがあるはず。既に申し上げましたが、高画素化も図られ、高感度撮影機能や連写性能もアップするなど基本性能が高められ、たたき出す画もしっかりと磨き上げられているということは、作例を通してお分かりいただけたのではないかと思います。トピックスが盛りだくさんの1台ですが、アウトプットが伴ってこそ、信頼できるパートナーとなりうるわけです。資質は十分といえるでしょう。また、「AFポイントの移動、露出補正などEOS-1D Xと指の位置が変わらず、これなら2台使いでもストレスはないでしょう」とは、カメラマンからの談。加えて本機には、ダブルスロットルによるデータの同時書き込みが可能です。ハイエンドモデルでは当たり前の機能なのですが、大事な写真を撮る際には欠かせない機能。これらの点から観てみると、プロ/ハイマチュアのサブ機としても十分活用できる仕上がりといえます。まずは手にしてみてください。こんなカメラを待っていました、という人はきっと相当いらっしゃるはずです。撮りたい、表現したい、残したい、いろんな気持ちにしっかりと応えてくれるカメラですから、とことん使い込んでみてください、ぜひ。

( 2015.02.20 )

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画素数は2020万画素へとアップ、映像エンジンもDIGIC 6へと進化したAPS-Cサイズのフラッグシップ。軽快な動作と機動力の高さ、そして圧倒的な描写力と絶大な信頼感。この一台があれば十分です。

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開放値F4の標準ズームとのキット。フルサイズ対応なのでセンサーサイズの違うボディとの行き来も可能、安心できる描写力も備えているので、7D Mark II の良きパートナーとなってくれるでしょう。

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焦点域が広く、サイズも重さもコンパクトな18-135mmとの組み合わせは、便利さと軽快さを兼ね備えています。この組み合わせでブンブン振り回して下さい。

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バッテリーパックの他、単三電池でも使用可能なグリップ。縦位置撮影にも配慮された各種ボタン/スイッチ類を装備。防塵・防滴構造なのも有り難いですね。

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持っているだけで何かと便利で安心なのが自動車の運転免許と、カメラの予備バッテリー。そしてバッテリーは免許よりはるかに入手が容易です。

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チャージャーは同梱されてますよ、もちろん。でも自宅用の他に出先用、あるいは持ち運び用なんて使い分けができると、とても便利なのです。

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