Canon EOS 5D Mark III | SHOOTING REPORT

さて、お待たせいたしました。Canon EOS 5D Mark Ⅲの実写レビューをお届けいたします。5D Mark Ⅱが、映像(動画)であれだけ話題になった機種ですので、今回はまずスチル編を、そして次回映像編と、2回に分けてお届けしたいと思います。5D Mark IIIの機能的なトピックが「・・・大幅に!」といったものではなく、何だか地味に映った方も多いと思います。しかし今回スチル撮影で感じたことですが、実にきめ細かな改良が施されていて、全方位において一つ次元の上がったカメラに仕上がっています。幾つも変更ポイントがあり、キヤノンがこのカメラを磨き上げてきたなと実感するのですが、その中でも印象的なのはAFの精度と速度アップ、そしてファインダーの出来の良さ(視野率が100%に!)、さらに良くなった高感度の描写といったところでしょうか。確かに画素数は多少の上積みで、地味に映ることでしょう。しかし写真を撮る道具として、撮り手に信頼を与える磨き上げに注力してきた印象です。5D MarkⅡを使い込んできた人にとっては、ありがたい改良がたくさんで、さらに信頼できるパートナーとなってくれることでしょう。もちろん、画のほうも一つ次元が上がった印象です。そのあたり作例を交えて解説いたしますので、ぜひご覧になってください。

( 写真:A.Inden / 文:K )

ひと皮むけたような、クリアさに見入ってしまう

新機種といえば、画素数アップなどわかりやすい機能面のアップデートについ注目してしまうものです。数多くの新製品レビューを行う編集部でも、その性格上、やはり突出した「数字」に目が止まりやすいのも正直なところです。しかしメーカーもそんなことは百も承知で市場に投入してくるわけですから、ものが悪いはずがありませんよね。初日の撮影後、PCで画像を拡げてみて驚きました。なんというか、曖昧さの無い大変クリアな像を結ぶのです。うっすらと掛かっていたベールがぬぐい去られたような画の明瞭さ。まずこれに大変感心しました。作例撮影に用いたレンズがEF200mm F2L ISなど、一級のレンズであることを差し引いても、一つ次元が上がった印象です。そして繊細で緻密な線。たとえれば、35mmフイルムからブローニーフイルムに感材を変えたような、そんな印象なのです。この画を見たときに、大ヒットした5D MarkⅡを置き換える5D Mark IIIで、何を実現したかったのかが理解できたような気がします。

ハイライト重視の露出決定で、フイルムならもっとわかりやすくシャドーがストンと落ち込みますが、デジタルの場合割にシャドー側の階調が残ります。だからこそ、ハイライトに据えたコーヒーカップなどが、もやっと写ってしまうと全体が一気に眠く見えてしまうのです・・・が、このクリアさ。デジタルの世界でも、これだけのメリハリが出てくるようになったのかと感慨深いものです。しかも、画面全体の階調再現は素晴らしいものがあります。硬いポジフイルムだと神経質に露出を考えるところです。

一昔前のデジタルカメラなら、この盛りの薄いイエローも、何だか芯の無い色再現だったことでしょう。5D Mark IIIはフラッグシップではありません。フラッグシップには投入できても、このクラスの価格帯では高価なローパスフィルターなども投入できないことでしょう。これだけのクリアさは、センサー・映像エンジンのトータルバランスの追求、何より被写体をただ写し込むだけでなく、その質を追求することにかなりのウエイトを割かないと実現できないのではないでしょうか。つまり、画素数(根本的な解像力の追求)、ダイナミックレンジ(階調再現力)、高感度特性など、まずは「写る、写す」という基本的な能力の追求が主だったフェーズから、その基本的な能力の底上げ、つまり平たく言えば画質の追求に軸足がおかれ移行してきた、といった印象なのです。うーん、、、ますます面白くなってきたなあ、といった印象です。

こちらもEF200mm F2L ISでの撮影。「レンズがいいんでしょ」それももちろんそうなのですが、5D Mark IIIと組み合わせてこれだけの画がものにできる、という事実でもありますよね。すばらしい描写です。

髪、そして上着、手で触れる感触が思い浮かぶ写りです。いやほんとうに凄いですね。

ピクセル単位で磨き込んできた印象

上の1枚、下の2枚を100%クロップしてみました。2000万画素超の画像をモニタ上において等倍で鑑賞することに、れほどの意味があるかということはさておき、まずはご覧になってください。

もう少し普通はモヤっとするものです。それが本機では、かなり明瞭な像を結ぶ印象です。またビッチビチに解像すれば良いというものでもなく、線の細さ、素直なシャープさなど、様々な要素が絡んでくるなかでのバランスが重要だといえるでしょう。つまり、このバランスに相当力を入れてきたのではないかと感じるのです。

実に素直なラインを描く印象で、十分にシャープ。やはり2000万画素超となると不満を感じないシャープさが得られます。少し糸巻き型の歪曲が目立ちますが、このあたりズームレンズですので致し方ない面も。もっとも後処理でどうとでもなるレベルですし、焦点距離によって歪曲の少ないポイントがあるため、現場でも詰めることができます。

いやはや、こちらは文句のつけようが無い描写です。

階調再現力の高さも魅力

画のクリアさが増せば、微妙な光も描き分けられるわけで、このあたりを実感していただける作例を並べてみます。もともと5D MarkⅡのときから、画はわりと濃厚でした。階調再現力に磨きがかかったことで、奥行きを感じられます。

輝度差がかなりあるのですが、シャドーの階調も十分にキャプチャされています。フェンダーラインのカーブが本当に良く再現されています。

シャドーをドンと潰すしか無かったシーンでも、階調を残しつつ、メッキ部分のハイライトを際立たせることができます。この余裕がありがたいですよね。

高感度特性の向上、HDR機能の追加など、さらに完成度の高まった満足な1台

機能アップ箇所がたくさんありすぎて紹介しきれないのですが、まず高感度特性について。上の作例はISO25600で撮影。多少画はフラットとなり、ノイズもかなり載ってはきますが、シーンによっては実用出来てしまう仕上がりです。さらによくなった印象ですね。コマーシャルの世界の大変厳しい目で見ても、ISO1600あたりでも全く問題ないように感じます(コマーシャルカメラマン談。5D MarkⅡではISO400あたりが安全ラインだったことを考えれば2段分ほど選択の自由度が高まった)。ボディの使い勝手については、とにかくAFの精度と速度が向上した印象です。これは既存ユーザにとって本当に嬉しいことではないでしょうか。もうひとつ、静音シャッター機能が今回より搭載されていますが、あまり音を立てたくない場面での撮影などには抜群で、これも嬉しい新機能です。5D Mark IIIは、カタログのスペック覧で見れば、派手さの無いアップデートですが、このように実際の撮影でかなり効くアップデートが満載で、結局自分の傍らに置くカメラを何にするか、その着目点となる部分を手厚くアップデートしつつ、ピクセル単位で画を磨き上げてきた、そんな印象です。手にすれば、満足げにカメラを見つめることになるでしょう。新たに手にしようという方はもとより、5D MarkⅡユーザにこそ手にして欲しい、そんな印象を持った試写でした。

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デジタルカメラの進化はまだまだ止まりません。5D Mark IIIの画を見て、それをさらに実感するのでした。ぜひ手にしてください。

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こちらはレンズキット。テレ端105mmというのは、本当に使いでがあって、この1本の存在は大きいですよ。

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バッテリーライフは長いカメラだと思いますが、遠方への撮影などではやはり必需品ですよね。

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傷が付くのはやはりイヤなもの。ご一緒に。

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旧型があれだけよいのですが、さらによくなるのでしょう。この機会にぜひ。

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銘玉と誉れ高きレンズですが、相性はよいと思います。

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