PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
富士フイルムからXマウント用超望遠ズームレンズ“XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR”が登場しました。35mm判換算で229-914mm。ズーム域は富士XFレンズ史上最長の焦点域のズームレンズです。このクラスのレンズのほとんどが2000gを超えるなかで、長さは314.5mm、重量は1605gと驚異的にコンパクトで軽量に仕上げてきました。AFはフォーカスレンズ群をリニアモーターで駆動させるインナーフォーカス方式を採用することで、ほぼ無音で高速高精度のAFを実現。レンズ構成はEDレンズ2枚、スーパーEDレンズ3枚を含む17群24枚という贅沢な構成により各種収差を抑制した高い解像力が期待できます。手ブレ補正は約5.0段と強力で、控えめな開放F値でも手持ち撮影をしっかりバックアップ。また今回使用した最新のX-H2Sと組み合わせることで高いレベルの連写性能や追尾AFにより撮り逃しを大幅に減らすことが期待されます。それでは、ただ軽くて小さいだけではないXシステム会心の超望遠ズームをご覧ください。
( Photography & Text : Z II )
テレ端600mmは35mm判換算約914mm相当で、月をトリミングなしでこれくらいのサイズで写し取れます。三脚があるなら使うに越したことはないですが、強力な手ブレ補正があることで低感度での手持ち撮影が可能。しかも少し絞る余裕があるほどです。月と絡めた色々なシーンが狙えそうですね。
超望遠ズームの利点はこのような、近寄ることの難しい被写体でも離れた位置から自由に構図を決められることです。作例はテレ端より少し短い約700mm付近で撮影。意図したサイズで蓮の花を画面に収め、背景の整理もうまくいきました。
こちらはテレ端でグッと引き寄せています。背景の池の反射の位置を意識してカメラ位置を移動しながら撮影。鳥認識AFは首の長い鳥でも難なく捉えます。キリッとした像を結んでいて、ファインダー越しにも凛々しさを感じるほどた。
都会でも少し郊外に足を伸ばせば、珍しいハグロトンボを見ることができます。とても警戒心が強くなかなか近寄れませんが、テレ端での最短撮影距離（約2.4m）まで寄ると小さなトンボでも十分なサイズ。最短撮影でもキレのある描写で、脚に見える毛脛（けずね）までくっきりと確認できます。
超望遠ズームは被写体に寄って画面いっぱいに撮ることもできれば、程よいサイズに切り取って好きなところに配置できるのもメリットの一つ。色々なバリエーションが狙えます。
海や川のスポーツ撮影にも超望遠ズームは大変重宝します。作例は、カヌーを担いでいるシーンですが、超望遠ズームだからこそ大胆に切り取れます。全体的にクリアな描写も見事ですが船体の艶感や、肘から腕にかけての凹凸など細かな質感描写も素晴らしいです。
どのスポーツ撮影でもいえることですが、撮りたくなる瞬間はおそらく選手の表情や盛り上がった筋肉、滲んだ汗、飛び散る水しぶきなど、遠くからでは見えにくいものでしょうか。カヌーやボート競技などは、かなり離れた位置から狙うことが多いと思いますが、本レンズのテレ端（35mm判換算）914mmの長さなら大抵のものは引き寄せることができます。人物認識AF +AF-Cにセットし、シャッタースピードを調整し背景を流すことでイメージ通りに撮ることができました。コツはファインダーを見ずに動きに合わせて連写してみると案外被写体がとまります。画角に入ってさえいればどんなに遠くても大抵は人物を認識してピントを合わせてくれるので本当にたすかりました。
強烈な西陽の中でも、キラキラした水面とボートを漕ぐ人物の、どちらも見たままの描写です。こういうシーンでは、滲みなどの色収差が出ても不思議ではありませんが、EDレンズやスーパーEDレンズを採用したレンズ構成、さらには富士フイルム独自の多層コーティングをレンズの全面に処理した結果の表れでしょうか、クリアに解像しています。
35mm判換算約400mmで撮影。圧縮効果を活かした望遠レンズにしかできない撮り方ですね。撮りたい位置からズームしてちょうどいい画角に調整できます。
絞りF16にて、西陽が反射したビルの壁面を撮影。画面全体をカリッと描写し、ガラスや壁面の質感を余すことなく再現できています。
フジXシステムが可能にした渾身の超望遠ズーム
スペックを見るだけでもメーカーが相当にチカラを入れたレンズなのはわかりましたが、いざ撮影してみると、ほうほう、と感心しっぱなしでした。最近の望遠レンズといえば、もはや軽くて静かで正確で素早いなどは当たり前で、そこからどれほどの解像力と、快適に撮影する機能を盛り込んでいるのかがポイントになると思われます。まずXFレンズで最長の超望遠を有する229-914mmのズーム域は、フルサイズ機ならテレコンバータを使用しない限り実現が難しいほどのズーム域で、しかもコンパクトで軽量です。描写に至っては各種収差を徹底的に抑えることで、クリアで臨場感のある素晴らしい写りを見せてくれました。さらにインナーズームにより重心の位置が変わらず長時間の撮影でも疲れにくいことや、マットシルバーの鏡胴により温度の上昇を抑え、酷暑下での屋外撮影にも配慮していることなど、書き切れないほど撮り手に配慮した設計がなされています。これほどのズーム域があれば各種スポーツ撮影やネイチャーフォト、飛行機やクルマにバイクなど、幅広く使える上に、被写体があらかじめ決まっていて、特に明るいレンズである必要がなければ、これ一本でOKなわけです。高解像力なのはもちろん超望遠の撮影がよりコンパクトに、快適で確実に行える、富士フイルムだからこそ可能にした超望遠ズームレンズなのです。
( 2022.08.18 )
描写性能、操作性能、サイズや重量など撮影者の要望をほとんど叶えたといっていい超望遠ズームレンズです。
撮影時には激しく動くこともあるでしょうから、きっちり保護をしておきましょう。
1.4倍のテレコンバーターを付ければ換算約320-1280mmもの超望遠となります。離れた位置から小鳥を狙えます。
2.0倍のテレコンバータを付けると、もはや望遠鏡レベルの換算約458-1828mmと、肉眼で豆粒ほどのものを狙うことができます。
連写性、AF性能などまさに"XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR"にベストマッチのボディ。撮影に対する本気度を見せるなら選ぶべきボディ。
ボディにX-H2Sを選んだなら、バッテリーグリップは必須といってよいでしょう。超望遠レンズを装着時には重量のバランスがよい上に、電池消耗の激しい連写撮影を多用する際も安心です。バッテリーの購入もお忘れなく。