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ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

KIPON ELEGANT 50mm F2.4

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

デジタルカメラがカメラの主流になり、キットレンズとしてボディとともに販売されるのはズームレンズがメインとなっている現在、標準レンズといえば、標準ズームレンズを指していると思う方も少なくないでしょう。50mmという「標準レンズ」はそのズーム域に含まれており、あえてこの画角を選ぶというシチュエーションも多くはないかもしれません。しかし、ファインダーを覗くと若干狭いかな……とも思えるようなこの画角は、自分自身の足を使って被写体から引いたり、寄ったりしながら、さまざまなシーンを捉えることが可能で、広角レンズ的にも中望遠レンズ的にも使うことができます。今回ご紹介するのはEOS RFマウント用の「KIPON ELEGANT 50mm/f2.4」。マニュアルフォーカスの単焦点レンズです。レンズ構成は6群6枚。IBERITの光学系を継承しています。全長63mm、重量320gと小型軽量ですからカメラバッグにいつでも入れておくことができます。ELEGANTシリーズの柔らかで温かみのある描写は50mmでももちろん味わうことができるのですが、こちらは若干現代的な描写をします。さっそく作例をご覧になっていただき、その実力を確かめてみてください。

( Photography : Serow / Text : Rica )

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

レンズを手に入れて一番最初にシャッターを切るのは、こういう日常風景だったりします。「試写」なのだと断りを入れなければ「どうしてこれを撮ったの?」と言われかねない写真。自信を持って「金属の質感描写を見たかったのだ」と言い切りましょう。比較的近い被写体を開放で狙えば、レンズの個性が見えてくるものです。

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

少し距離を置いて2〜3mあたりの被写体。50mmレンズで切り取るにはちょうど良い距離だと思います。描写は全体的に「やさしい」「やわらかい」という印象で、ピントピークにおいてもカリカリすることはありません。

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

決して明るいレンズではないのですが、それでもズームレンズには得がたい世界を描きます。中距離の被写体、独特の立体感、いいですねえ。色乗りも落ち着いていて通好みの渋さでしょうか。


Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

最短撮影距離は60cmなので、グッと寄るには不向き。それでもこんな具合のテーブルフォトは撮れます。最短では被写界深度が薄くなりますし諸収差も目立ちますので、本来は絞ったほうがいいでしょう。しかし、、、

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

こちらも開放・最短付近です。上述したように「絞ると端正な写りになっていく」のですが、使っていくうちにこの「クラシックな写り」が本レンズの魅力だと感じはじめました。全体的にユルく、お世辞にもヌケが良いとは言えません。しかしそれが雰囲気を作っているわけで、現像で引き締めたりする気にはならない。今の時代に、新品で買えるレンズながら、オールドレンズを手にしたようなニヤニヤがあるのです。

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow


Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

少し絞った日中のスナップでは、優等生の雰囲気が漂ってきました。絞りや被写体との距離によってレンズの描写が異なるというのは、体感してみればわかります。こうした個性を味わうのが、レンズグルメの嗜みであるわけです。

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow

こちらもF4。少し絞るだけでも周辺減光や色収差などが改善され、クリアな描写になりました。ひとつひとつのシャッターに意図を持ち、絞りを変えて撮ってみれば、本レンズはきっと様々な顔を見せてくれます。これを知ることこそ、ステップアップの第一歩なのです。

Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4, Photo by Serow


Canon EOS R, KIPON ELEGANT 50mm F2.4

独特の“ヌケ感”に魅了される

マニュアルフォーカスの単焦点標準レンズ「KIPON ELEGANT50mm/f2.4」は、堅実な描写と小型軽量であることを重視して作られた「IBERIT」シリーズの光学系を継承。その外観についても、アルマイト処理したアルミニウム、なめらかで心地よいトルク感の真鍮製フォーカスリングと、耐久性に長けたマテリアルを採用。塗装の質感も“エレガント”です。開放での甘い描写が大きな魅力ですが、条件により諸収差は発生するものの色乗りもよく、質感描写にも破綻はありません。絞ればキリっと引き締まりすみずみまで解像。現代的な描写に様変わりします。この大きな描写の変化を個性と捉えることができてこそ、本レンズを手に入れる価値が高まるわけです。とはいえ、さまざまな被写体を丁寧に描き出し、トーンの連なりも自然で良質ですから、立体感、リアリティのある描写を求める方にも満足いただけるでしょう。モノクロでの撮影にもとても向いているレンズだと思います。現在なら“あえて”選ぶ必要のある50mmという焦点距離で何を撮るのか? その答えを、このレンズとともに導き出してください。写真は50mmに始まり、50mmに終わる。こう言うと、そんな昭和のやり方は……と思われるかもしれません。しかし、50mmという一見クセのない普通のレンズにこそ、新たな発見がきっとあるはずです。

( 2019.06.27 )

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マニュアルフォーカス標準単焦点レンズ「KIPON ELEGANT 50mm/f2.4」は、クラシカルかつモダンなデザインがEOS Rシリーズにマッチ。標準ズーム域に含まれる50mmという画角をあえて選ぶことに意義があります。

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フィルターガラスへの負担を限りなくゼロに近づけるため、フローティングフレームシステム、特殊弾性緩衝材を採用。本来のレンズの描写力を損なうことなくレンズ前面を保護できるフィルターです。

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